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トムラウシ山事故中間報告書が発表された

トムラウシ山事故中間報告書が発表されたが日本山岳ガイド協会(ここ)のHPには2009/12/9現在報告書は掲載されていない。新聞報道による日本山岳ガイド協会のトムラウシ山遭難事故調査特別委員会が7日に公表した 中間報告書要旨は次の様になっている。
▽現場の判断や対応については
どういう天候判断でヒサゴ沼避難小屋を出発したのか。 悪天候の予測が計画に反映されず、ガイド間で危機意識を共有できていなかった。
参加者の体調などへの配慮、服装のアドバイスがなかった。 強風や衣類のぬれ、北海道の高山(夏季の低温)への認識が不足していた。
出発時間を変更したがあまり意味はなかった。「取りあえず出てみよう」との判断だったが、稜線で最初に危険を予知すべきだっ た。
ロックガーデンを登り始める前に、強風雨が収まるのを待つという判断はできなかったのか。
歩行時に標準のコースタイムの2倍近い時間がかかったのに、ピンチという認識が薄かった。
低体温症の前兆が表れている参加者に何の対応も取らず、防寒対策や行動食、水分補給のアドバイスをした形跡がない。
北沼渡渉点で吹きさらしの中、何の指示もなく、長時間停滞したことがパーティーの運命を決定付けた。
危機対応におけるガイドの役割分担が明確ではなかった。
行動不能になりビバークすることになった1人の参加者のため、パーティーの責任者のリーダーが後方に残ることは登山の常識で は考えられない。
隊を分けることの危険性を事前に認識していたのか。分けなければ全員でビバークできた。
参加者の体調や精神状態に対する確認がなく、甘い判断のまま行動している。
携帯電話を通信手段とするなら、メリットマップ(通信の可否を落とし込んだ地図)をなぜ持参していなかったのか。
▽ガイドの力量
危急時における対応経験や危険予知能力を持っていたか疑問がある。
ガイドの判断の迷いや遅れによって対応が後手に回り、パーティー全体をどんどんピンチに追い込んでいった。
厳しい状況下での パーティー行動経験が足りず、夏山でも低体温症が起こり得る可能性について深刻に認識していなかった。
ガイドと参加者との体力差が大きく、参加者の疲労度をどこまで認識していたか。
参加者への状況説明を常に行い、経験や疲労度 を把握していたか、疑問が残る。
▽ツアー会社の企画や運営、危機管理
創業以来、年々急成長し、社内やガイドのリスクマネジメント体制が対応できていなかったのではないか。
現場でのあらゆる判断をガイドに任せており、何かあれば会社が全面的に責任を負うとしているが、登山としての安全性を重視し た判断をガイド側から主張できる体制、指導があったかが問われる。
研修会で低体温症が取り上げられておらず、天候悪化に伴うリスク回避に対する具体的な判断基準がなかった。
ツアーそのものの脆弱性(参加者のレベル把握が不十分、簡素な食事、エスケープルート・予備日なし、ガイドの土地勘なしなど )を認識せず、ガイドに伝えていなかった可能性がある。予備日がないので停滞できないなどというプレッシャーをガイドが感じ ることはあるだろう。
危急時の連絡方法が心もとない。
避難小屋泊まりを前提としたようなツアー募集は小屋の使用目的から逸脱している。
ツアー登山の定着とともに「ツアー登山客」という層が生まれ、「ツアー登山ガイド」というカテゴリーが出来上がりつつある。 そのリスクにツアー会社もガイドも敏感でなければならない。
ガイド3人のうち2人が今回のコースが初めてで、3人はお互いに面識がなかった。
参加者の基準についても、危険度の高いコー スではもう一歩踏み込んだ顧客管理が望まれる。
▽参加者の力量と認識
ツアー会社の参加基準を全員がクリアしていたが、悪天候下の経験や体力となると、一部の人は不足していた。
参加者はパーティ ーの一員として、自分の体力レベルについて客観的に認識していたか。
ツアー登山というシステムに依存し過ぎず、最終的に自己責任が基本となるという認識を持っていたかどうか。現在地の確認や時 間管理、体調把握などパーティーの一員としての認識が不足していた。
ほとんど全員に低体温症の知識がなかった。 装備について、特に問題はなかったが、危急時にいかに活用するかという知識が足りなかった。
食料計画が貧弱で、悪天候下ではエネルギー不足だったと思われる。

報告書は、生還したツアー客やガイドらからの聞き取り調査で事故当時のツアーの行動を詳細に検証したようだ。私は報告書概要 を読む限り防げる遭難だったのではないかと思う。調査をさらに続けて今後、同じような遭難防止のために、本報告書においては ではツアー登山に対する問題提起まで突っ込んだ報告書を期待したいと思う。
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